
刺身がもっと旨くなる「刺身醤油」おすすめ5選
スーパーで買った刺身、醤油を変えるだけで驚くほど味が変わることをご存知ですか?
「刺身醤油」は、魚の旨味を引き立てるために作られた専用の醤油です。九州の甘口から関東の辛口まで、地域によって味わいが大きく異なります。
この記事では、刺身醤油の特徴と選び方、そしておすすめの5商品をご紹介します。
刺身醤油とは?普通の醤油との違い
刺身醤油と一般的な濃口醤油は、何が違うのでしょうか。実は「刺身醤油」という分類はJAS規格に存在しません。各醤油メーカーが「刺身に合う」と考える醤油に、この名前をつけているのです。
濃厚なとろみが刺身に絡む
刺身醤油の多くは、通常の醤油よりもとろみがあります。このとろみにより、刺身にしっかりと絡み、醤油皿に垂れにくくなります。
とろみの正体は「再仕込み醤油」という製法や、昆布だし・甘味料の添加によるものです。再仕込み醤油とは、塩水の代わりに醤油を使って二度仕込む贅沢な製法。通常の2倍の原料と時間をかけて作られます。
旨味成分の相乗効果
刺身醤油には、昆布だしやカツオだしが加えられていることが多いです。昆布に含まれるグルタミン酸と、魚に含まれるイノシン酸が組み合わさると、旨味が7〜8倍にも増幅される「相乗効果」が生まれます。
刺身醤油は、この相乗効果を狙って設計されているのです。
甘口と辛口——地域で異なる味わい
地域によって醤油の味は大きく異なります。
九州・四国では甘口が主流です。砂糖やみりんが加えられ、まろやかな味わいが特徴。長崎の出島から砂糖が入ってきた歴史や、焼酎文化との相性など、様々な要因が重なって甘口醤油が発展しました。
一方、関東・東北では辛口が主流です。塩味がしっかり効いた、キレのある味わい。濃口醤油の産地である千葉県野田・銚子を中心に発展しました。
刺身醤油の選び方
魚の種類で選ぶ
魚の特徴に合わせて醤油を選ぶと、刺身の味わいがさらに引き立ちます。
マグロやカツオなどの赤身魚には、辛口醤油がおすすめです。塩味が脂の旨味を引き締め、魚本来の風味を引き出します。
ヒラメやタイなどの白身魚には、甘口醤油が合います。繊細な味わいを損なわず、甘みがまろやかさを添えます。九州では新鮮な白身魚に甘くてとろみのある醤油を合わせるのが定番です。
ブリやサーモンなど脂の強い魚には、辛口やたまり醤油が適しています。濃厚な味わいが脂を切り、後味をすっきりさせます。
製法で選ぶ
醤油の製法によっても、刺身との相性が変わります。
再仕込み醤油は、醤油を仕込み水として使い、二度仕込む贅沢な製法です。山口県が発祥で、別名「甘露醤油」とも呼ばれます。濃厚な旨味ととろみがあり、刺身にぴったりです。
だし醤油タイプは、昆布やカツオの旨味が加えられた醤油です。手軽に旨味をアップでき、刺身以外の料理にも使える万能選手です。
たまり醤油は、大豆を多く使用した東海地方発祥の醤油です。濃厚でまろやかな味わいが特徴で、刺身との相性も抜群です。
おすすめ刺身醤油5選
1. 【九州甘口の定番】フンドーキン 刺身しょうゆ
大分県の老舗メーカー、フンドーキンが手がける刺身醤油です。九州らしい甘口で、白身魚や貝類との相性が抜群。適度なとろみがあり、刺身にしっかり絡みます。
初めて甘口醤油を試す方にもおすすめの一本。価格も手頃で、日常使いに最適です。
- 味わい: 甘口
- 容量: 360ml
- おすすめの魚: 白身魚、貝類、イカ
2. 【関東辛口の人気銘柄】ヤマサ 鮮度の一滴 特選しょうゆ
関東の辛口醤油を代表するヤマサの特選醤油です。鮮度を保つ二重構造ボトルで、開封後も90日間風味が落ちません。
火入れをしていない生醤油なので、素材を活かす鮮やかな色合いが特徴。マグロやカツオなど赤身魚との相性が良いです。
- 味わい: 辛口
- 容量: 450ml
- おすすめの魚: マグロ、カツオ、赤身魚全般
3. 【再仕込み醤油の傑作】ヤマロク醤油 鶴醤
小豆島で150年以上醤油づくりを続けるヤマロク醤油の最高峰です。100年以上使われている木桶で仕込まれ、蔵に住み着く微生物がこの蔵でしか出せない味を生み出しています。
醤油を仕込み水にして二度仕込む「再仕込み」製法で、熟成期間は約4年。深い旨味と複雑な風味が特徴で、高級刺身にふさわしい一本です。
- 味わい: 濃厚
- 容量: 145ml / 500ml
- おすすめの魚: 白身魚、タイ、ヒラメ
4. 【だし入りで手軽】にんべん つゆの素ゴールド
鰹節の老舗、にんべんが手がけるだし入り醤油です。刺身専用ではありませんが、カツオだしの旨味が刺身の味を引き立てます。
グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果で、魚の旨味が何倍にも増幅されます。白身魚との相性が良く、そのまま使えて手軽です。
- 味わい: 中辛
- 容量: 500ml
- おすすめの魚: 白身魚、イカ、タコ
5. 【たまり醤油の老舗】山川醸造 たまりや
岐阜県の老舗、山川醸造のたまり醤油です。大豆を多く使い、じっくり熟成させた濃厚な味わいが特徴。東海地方では刺身にたまり醤油を使うのが一般的です。
ブリやサーモンなど脂の強い魚との相性が抜群。濃厚な味わいが脂を切り、後味をすっきりさせます。
- 味わい: 濃厚
- 容量: 300ml
- おすすめの魚: ブリ、サーモン、脂の強い魚
比較表
| 商品名 | 味わい | 特徴 | おすすめの魚 |
|---|---|---|---|
| フンドーキン 刺身しょうゆ | 甘口 | 九州甘口の定番、コスパ良好 | 白身魚、貝類 |
| ヤマサ 鮮度の一滴 | 辛口 | 鮮度長持ち、生醤油 | マグロ、カツオ |
| ヤマロク醤油 鶴醤 | 濃厚 | 木桶仕込み、再仕込み | 白身魚、高級刺身 |
| にんべん つゆの素ゴールド | 中辛 | だし入り、万能タイプ | 白身魚、イカ |
| 山川醸造 たまりや | 濃厚 | たまり醤油、脂を切る | ブリ、サーモン |
まとめ
刺身醤油は、魚の種類や好みに合わせて選ぶことで、刺身の味わいが格段にアップします。
迷ったら、まずはフンドーキン 刺身しょうゆ(甘口)とヤマサ 鮮度の一滴(辛口)の2本を揃えてみてください。白身魚には甘口、赤身魚には辛口と使い分けるだけで、刺身の楽しみ方が広がります。
特別な日には、ヤマロク醤油 鶴醤のような再仕込み醤油を試してみるのもおすすめです。小豆島の木桶で4年かけて育てられた醤油は、いつもの刺身を特別な一皿に変えてくれるはずです。
醤油が庶民に広まったのは江戸時代後期のこと。それまで刺身は煎り酒や酢味噌など、多彩な調味料で楽しまれていました。現代では醤油が主役ですが、その醤油にも地域ごとの個性があります。
いつもの刺身に、こだわりの醤油を合わせてみてください。きっと新しい美味しさに出会えるはずです。
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参考文献・出典
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